デッドニングとカーオーディオデッドニングは違う!

ドアの内張りを剥がして、防振材を貼る作業「デッドニング」は大きく分けて2種類に分かれます。カーオーディオ系の防振・制震作業と、車を静かにする防振・制震作業、使う素材や作業工程は同じように思えますが、別々のものと考えた方が良いと思います。ターゲットとなる振動が違う・・・

オーディオ系のデッドニングの場合

前回書いたスピーカーのブログでも少し触れましたが、カーオーディオのデッドニングの考え方は、スピーカーから出ている音に対して、共振するインナーパネルやドアの部品の比重を上げて部品の最低共振周波数を下げる、スピーカーの後側から出る逆相の音が、周り込むのを防ぐのが目的となります。
わかりやすく言うと、スピーカーから出る音を中心に施工していくことになります。MSTの施工の場合、作業の内容によってはパネルの共振をうまく利用して音に厚みを出したり、ニュアンスを変えたりチューニングをするケースもあります。防振材の貼る量や、ポイントを調整してガチガチに固めすぎないようにもします。

車を静かにするデッドニングの場合

逆に車を静かにするデッドニングの場合、ダーゲットとなる音が、ロードノイズやエンジン音など車外からの音になります。デッドニング材を一面に貼ってパネルの厚さを上げることで外部の音を減衰させます。更に、減衰した音を吸音材を介して熱エネルギーの転換します。極端なことを言うと、ガチガチに固めて、パネルの厚みを変えれば静かになりますよね、ってことです。

施工を間違えるとオーディオの音にも影響

ルーフパネルやフロアパネルなどは別として、スピーカーを取り付けるドアパネルのデッドニングは音に影響します。MSTでも経験がありますが、DIYや一般ショップでデッドニング施工された車のスピーカー交換した際、いつものこのスピーカーの音じゃないってこともあります。闇雲に貼られたデッドニング材が悪さをしてしまうこともあるのです。再施工したくても、強力なブチルゴムで鉄板に張り付いていますので、きれいに剥がせない、パネルがゆがんでしまうなんてこともあります。

音をよくするデッドニングとは・・・

スピーカーのスペックやドアの構造などを加味して施工していきます。インナー取付、アウター取付など取付の違いによっても施工内容を変えていきます。お店ごとに同じスピーカーでも音が違うのは、お店ごとにデッドニングのチューニングの仕方が違うのも一つの要因です。
 セッティングまでしっかりできるインストーラーはスピーカー取付時に、調整の事まで考えて施工していきます。デッドニングで物理的に音をチューニングするのか、DSPの調整で対応するのか、どの周波数帯まで鳴らすのか、など考え方ひとつで施工方法やセッティングの方法が変わります。数を重ねてくると、なんとなく安パイなレベルが分かってきます。最近では、DSPありきのカーオーディオになってきましたので、最後の調整で辻褄を合わせる事はできます。しかし、物理的なチューニングができる部分は、しっかりと対応していかないと、いい音ににたどり着かないのも事実です。
 最近ではカーオーディオのサウンドコンテストは、かなりレベルが上がり、入賞車両の音の差がだんだん狭くなってきています。デッドニングなどの物理的なチューニングは、システムの伸びしろをどれだけ残せるか、と言う部分でとても重要な要素になってきます。
 余談ですが、他のショップで付けたスピーカーをDSPで調整する場合、少しやり辛かったりします。デッドニングのやり方が違うと、スピーカー特性が微妙に変わってしまいます。逆に、自社で作業をしていると、デッドニングをしながら、このドアなら少し下まで低音出せそうとか、この辺で低音をカットした方がよさそうとか、イメージがあるのでセッティングもスムーズに決まることが多いのです。

音をよくする上で大切な要素を含むデッドニング

スピーカーやアンプ交換のように大きく音が変化する事は少ないですが、細かい音のディテールが変化して音の厚みがましたり、ノイズや共振で消えてしまっていた音がはっきりしてきたり、本来のスピーカーのポテンシャルに近づけていくとても重要な作業です。スピーカー交換のオプション作業として捉えられがちな作業、とりあえずやっておいいた方がいいと言う感覚になりがちですが、しっかり施工することでワンランク上の音を耳にすることが可能です。